パパ・タラフマラとは何か

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What's Pappa?

　演出家・小池博史を中心に一九八二年に結成された舞台芸術グループ「パパ・タラフマラ」は、ダンス、演劇、美術、音楽などをジャンル分け不可能な総合アートとして展開し、日本のみならず世界各国を魅了し続けた。
　パパ・タラフマラを説明するのは難しい。似ているものがないからだ。ダンスも芝居も要素のひとつであり、どちらかがメインでもう一方がサブといった分別はできない。「ミュージカルなの？」と誤解されることも多いが、まったくの別物だ。アートのカオスと捉えるのが近いかもしれない。彼らの作品はどれも、観客にやさしく語りかけてなんかくれない。ものすごいパフォーマンスを観せるだけ観せて「あとはご勝手に」と放り出す。眩暈と覚醒。浮遊感。ちくりと残るほろ苦い棘。流れ込んでくる圧倒的な情報量に頭のなかを撹拌され、心はいつもどこか別の世界に連れていかれる。

　結成三十周年となる二〇一二年、パパ・タラフマラは解散する。一度でもその舞台に触れたことのある人には、それがどれだけ残念なことかわかるだろう。未見の人は、不可思議で鮮烈な体験をする最後のチャンスだ。

　文章　熊木由美



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