司会「それではここで、葛西さんのの手がけられましたパパ・タラフマラのフライヤーを一挙にご紹介したいと思います。」

1:『島〜no wing bird on the island』2:『青/ao』3:『島ーisland』4:『WD』」5:『Birds on board』6:『SHIP IN A VIEW』7:『青い頭の雄牛』8:『ストリートオブクロコダイル計画1』9:『ストリートオブクロコダイル計画2』10:『HEART OF GOLD 百年の孤独』11:『僕の青空』12:『トウキョウ⇔ブエノスアイレス書簡』13:『ガリバー&スウィフトー作家ジョナサン・スウィフトの猫・料理法ー』

 

司会「この中からいくつかピックアップして、その出来上がる経緯などをお聞きしたいと思います。まず始めは、お二人の初のアートワークとなりました『島 No Wing Bird on the Island』です。」

司会「まず伺いたいのですが、葛西さんにこの仕事のお話をするとき小池さんの方からは、どう順序で、どうゆうふうに、こんな作品だというのをに伝えるんですか?」


小池「どんなふうに伝える・・・ちょっと覚えてないんですけど、台本があって、イメージを最初伝えたんだと思いますね。この作品はインゴギュンターというドイツのメディアアーティストと、リュウ・ソーラという中国のボイスや小説なんかも書くアーティストとのコラボレーション作品だったんですが、そういう中で『島』の意味ていうのは要するに“世界をどう見ていくのか”って話になるんです。その話を最初葛西さんにも話したと思います。『世界の見え方ってゆうのは色々あって、いろんな地図が描けるだろう。それはだんだん島に見えてくるよね』って話をしたと記憶はあるんですが。」


葛西「あーそうだったかな?」


一同「(笑)」

葛西「そうだったのかも知れないんですけど、それが思い出せなくてですね(笑)。一つ思い出せるのは、「人は誰しもが何かを抱え込んでいる」ってことだったんです。すごく耳に残ってるし、そうだなと思ったんですよ。それでそのイメージを表すのにどうしようかなと思ってですね、あれ(島の漢字の上の黒いイメージ)惑星のように見えるかも知れないんですけども、よく美術のデッサンなんかで描く、関節が動く木製の人体模型ありますよね、よく美術の授業で使う。その目の前に黒い丸を置いて撮影し、それを横倒しにしましたものなんです。ちょっと浮き輪に浮いているようにも見えるかも知れませんが、左は足二本ですね、右に出っ張っているのが頭で、下に出ているのは左手ですね。黒い塊が   みたいに襲われてる気分ってゆうか。あえてしゃべればそんなマークみたいなイラストみたいなモノを作ってみようと思いました。で、島ってゆうのは、一文字だけっていうのも印象的だなって思ったので、“なんとか島”とか読めるかもしれないなぁとか思いつつ、一歩一歩積み重ねるようにレイアウトしたのがデザインの方法なんですけど。きっかけは「人は誰しも何かを抱えてしまっている」という、ただその一言を巡って考えました。」

 

司会「この中からいくつかピックアップして、その出来上がる経緯などをお聞きしたいと思います。まず始めは、お二人の初のアートワークとなりました『島 No Wing Bird on the Island』です。

司会「そのような小池さんからの要望のお話を聞いてる時は、キーワードみたいなものを記憶するんですか?」


葛西「記憶ですね。でも台本というか、もともと小池さんがやろうとしていることを文章にしたシナリオの様なものはありましたよね。それを読んだのと、小池さんと話した結果で、あぁこうゆうことなのかなと思って。でも初めてのことだし、これが正解なのか不正解なのか、小池さんが求めてるものに合ってるか解らなかったので、すごく怖かったですね、ラフスケッチを見せるのが。そこにその企画のプロデューサーの伊藤潤二さんもいらっしゃったので、僕にはある種、緊張感もあって。」


司会「そうゆうこともあるんですね、葛西さんにも。」

葛西「ええ全くそうだったんですよ。大失敗とゆうか、違うんじゃないかなとゆう心配が大きかったですね。」


司会「今、台本という言葉が出てきたのですが、パパ・タラフマラでは毎回台本も小池さんが書かれるんですか?」


小池「毎回ではないんですが、最近、葛西さんとやりだした以降は全部書いてますね。」


司会「では台本とともに要望を葛西さんに伝えるとゆうことなんですね。」


小池「ただ通常は(創作段階で)かなり早い時期に話をする形になるので、台本以前に多分色々なイメージ、自分自身で描いてるイメージスケッチをお渡しして、話していくとゆうのがパターンですね。」


葛西「小池さんの言葉の断片とか、その時の話し振りを聞いて、小池さんの中でも形にはなってないけど、蠢いてるようなものを想像して。どうゆう舞台になるか解らない状態でポスター作るので、心棒みたいな中身の塊みたいのが表現できれば何とかなるのかなってゆう、そうゆうドキドキでデザインしてますね。」


司会「そのどきどきのまま、デザインはできあがってきて、本番前からどんどん使用されてゆくわけですね。最終的に本番はご覧になるのですか?」


葛西「ええもちろん。本番見るときも、このポスターと本番との関係はうまく繋がるのかなーという、心配もありながらも、楽しみですね。」


小池「いや、それはもう、確実に繋がっていて、いつも面白いなーと思うんですね。この島なんかはポスターが私自身凄く好きなんですが、島に限らず、最終的には出てきたものから、また僕自身が逆に影響も受けるんですね。音楽なんかでもそうですが、そういうインターチェンジは当然ポスターやチラシと、舞台との間でもあります。関係性っていうのは逆に深まっていきますね。」


司会「共同作業というか、舞台を作る一つとしてフライヤーなどもあるということですね。」


小池「舞台っていうのはよくコラボレーションの舞台と、そうでない舞台という言い方をする人も居るんですが、基本的には集団でやりますから、絶対的にコラボレーションなんですよ。人が一人違っただけで違ってしまうし、これは演出家の頭だけじゃできないんですね。確実にどういう人が参加するかで内容が変わってくるもんだと思います。」


葛西「うれしいですね。作ったポスターをお客さんがどう見るかって事は当然想像しますが、実際演じようとしている人たちが、これを見て気持ちが萎えちゃまずいわけで。そんな大それたことは考えていないですが、これでやる気がでるとか、なにかはげみになるとか、なにか方角に影響をあたえるかもしれないと思うと伝わってほしいし、影響もあって欲しいという気持ちもあって。いま小池さんからそういう話を聞くと凄くやりがいを感じられてうれしいですね。」