トウキョウ⇔ブエノスアイレス書簡

 

初演 2007年10月 アサヒ・アートスクエア

恋はくるくる回り舞台
ジリジリと鳴り続ける赤い電話、玉手箱のように変化する不思議な衣装箪笥、どこからか聞こえてくるタンゴのリズム、謎の郵便局員が運び続ける大量の手紙と赤いポスト。パパ・タラフマラ流、パパタラ初の、ポップ、ハチャメチャ、ごった煮の推理小説的舞台。

舞台中央にたたずむ赤いドレスの女は、小さな部屋をピカピカにしながら遠く離れた地の男を思い愛を歌う。座敷わらしや郵便局員、友達だと主張する奇妙なカップル、退屈そうな女中たち、そして怪しく微笑むダテ男・・つぎつぎと現れる登場人物たちはすべて女の妄想か。やがて夢はつらなり、時間は逆走をはじめる。溢れ出る欲望と、満たされぬ思いは女を狂気の世界へといざない、いつしか空間は空洞化した闇へとかわってゆく。それはトウキョウ、ブエノスアイレス、それぞれの歴史でもあり、そこに住む人々ひとりひとりの歴史でもあるかのようである。
中川俊郎楽団が奏でる生音は、くるおしい喧噪と静寂に生きる一人の女の物語を浮かび上がらせた。

 

■作・演出・振付:小池博史
■音楽:中川俊郎
■演奏:中川俊郎(作曲/ピアノ)・堀越彰(ドラム)・伊藤彩(ヴァイオリン)・遠藤益民(チェロ)・横手亜梨沙(ヴォイス)
■サウンド:藤井健介
■美術:田中真聡
■壁面美術:松島誠
■オブジェ:山口百合子、山内祥子、森聖一郎、西井佑助、松元久子、加藤貴大、犬飼真実、佐藤千秋
■衣装:小林和史・甲斐さやか(OUTSECT)
■照明:関根有紀子
■音響:江澤千香子
■宣伝美術:葛西薫・引地摩里子・安藤隆
■出演:小川摩利子、あらた真生、池野拓哉、天野史朗、南波冴、菊地理恵、清水小寿江、橋本礼

 

photo by KOIKE Hiroshi,TSUKADA Youichi

photo by KOIKE Hiroshi,TSUKADA Youichi