「未来の空隙は響き」

 

初演 2002年9月 新国立劇場

「WD」という全4章からなる作品の第四章「The sound of Future SYNC.」を発展・ 拡大したバージョン。
パニックを起こしつつ、ゆっくりとした死を待つか?あるいは必死になって技術革新に走るのか?何とかなるさ、と、ただ楽観視するか?快楽に溺れるか?地球からの脱出を試みるか?都会を捨てアマゾンにでも逃げ込むのか?しかし、遅かれ早かれ、小さな現象は次第に大きくなって、世界の隅々まで襲って来るに違いない。
・・・しかし、それでも人は希望を捨てない。それは私たちがやっぱり欲望を持つ人間だから。


「正統は常に保守である。ゆえに正統は常に疑われなければならない。保守的な発想ほど堕落への道は早く、一時的な快楽しか得られにくい。ところが、その時々はなかなか知覚しにくいものである。ならばどうする?その理由を問い質しつつ、パラドキシカルな発想を持つしかあるまい。それは悪魔的で邪で、目を背けるような所業かもしれない。だが、絶望の淵にかすかにひっかかる、かすかで、不確かな何かから覗き 見ていく以外、方法はないと思うのだ。曖昧ななかから探っていくわずかばかりの 光。その声に耳を傾けること。現在における主流ではない現象、意識、つまり「空 隙」、「隙間」、そうしたものがグロテスクだが、美しく響き合うこと。このような暗部、あるいは見出しにくい現象の響き合いからしか何らかの希望は見出せない。だか ら「未来の空隙は響き」なのである。」
—小池博史

 

■作・演出・振付:小池博史
■音楽:レスリー・スタック
■美術:森脇裕之、田中真聡
■オブジェ: 宮木亜弥、山口百合子
■映像:佐々木成明
■衣裳:浜井弘治
■照明:関根有紀子
■音響:江澤千香子
■舞台監督:大谷地力


■出演:小川摩利子,松島誠、白井さち子、三浦宏之、関口満紀枝、あらた真生、秋葉睦子、小幡あえ架、池野拓哉、熊谷知彦、ジョシュ・フォックス、アリフワラン・シャハルディン、トム・トゥラス、イェ・ヒョースン